本書は稀代の名著である。あなたも感じているのではないか。リベラリズムが強要してくるポリティカルコレクトネスとやらが、いかに胡散臭く、世の中を息苦しくしているかを。本書はナショナリスト、すなわち愛国者の立場から左翼帝国主義者たちがいかにして多様な国民国家群を普遍的左翼思想一色に汚染しようとしているかを論じ、それに対する効果的な対抗策を記してくれている。
自分たちの民族集団を守りたいという本能に反する思想は、そもそも不自然で実現不可能なものなのである。そういった自然に反する思想を、人々が生きる実生活に強引に適用しようとする度に歴史的悲劇は繰り返し起こってきた。直近では共産主義という災いが人類をひどく苦しめた事例がある。
共産主義者やリベラリストは、狡猾にもナチズムとナショナリズムをこじつけたが、ナチズムという帝国主義に対抗した米英こそ国民国家を守らんとするナショナリズムによって戦っていたという指摘には目からうろこが落ちる思いだった。これは私たち日本人の先人たちも同じだった。資本主義の究極形として姿を現した植民地主義に対して、太平の眠りを覚まされて富国強兵に努め、不幸な世界大戦に巻き込まれていった日本も自国の独立を守らんとするナショナリズムに突き動かされていた。個々の国民国家の独立を普遍的左翼思想で染め上げようとする者たちこそ帝国主義者である。そして帝国主義の脅威はいまだに去っていないのだ。私たちには、それを拒否する権利がある。
人類の繁栄のためには、民族ごとの多様性が重要である。すべての民族を左翼思想で塗り潰し、世界を一色に染め上げてしまっては、その道を誤った瞬間に人類は全滅してしまう。地球規模で見て多様性が保たれていてこそ良き影響を与え合い、悪しき影響を避けることもできる。そしてその民族集団の繁栄と安定を支えるのは家族である。家族は民族よりも前に左翼帝国主義から守らなければならない。悪は家族の絆を攻撃してきている。ここを破られると孤立した人間をいとも簡単に支配できるようになるとわかっているからだ。
左翼帝国主義から我が身を守るためには民族の団結が必須である。個人で闘争を繰り広げている草莽たちもいるが、左翼帝国主義に逆らう者は誹謗中傷、公職追放、言葉狩りなどの弾圧を受けて消耗している。これ以上我が身を顧みず一人で声を上げている烈士たちを無駄に討ち死にさせるわけにはいかない。キリスト教もローマ帝国の普遍主義から身を守るためにユダヤ人たるナザレのイエスが始めた。私たちも団結して日本民族の血統と伝統を守らなければならない。今こそ千年後の民族的普遍宗教を確立すべきである。
バベルの塔を打ち倒し、ノアの箱舟で脱出しよう。普遍主義が悪であるという考え方は、私の目指す民族的普遍宗教の確立という目標とも合致する。民族ごとに絶対的で普遍的な宗教が存在し、集団として安定していてこそ世界を覆いつくそうとする人類的普遍主義から人々を守ることができる。人の生きる最善は、人類的普遍主義と孤立的個人主義の中間にこそ存在するのだ。
空想に過ぎない思想で強引にまとめ上げられた帝国は、常に民族主義、ナショナリズムという本能に導かれた集団へと分離する圧力に常にさらされている。血統、言語、文化を共有する民族は悠久の昔から存続してきたにも関わらず、帝国は歴史的に短命で、生まれては消えてきたことからも明らかである。左翼帝国主義もここ10年ほどでナショナリズムによる反撃を受けて解体寸前の状態である。大義も流れも私たちにある。今こそ日本人のための日本を取り戻そう。
ナショナリズムは絶対善であり、誇ってよいものである。全世界の愛国者たちよ、あなたは正しい。各国で決起して左翼帝国主義を、二度と悪行を成せないほど徹底的に打倒しよう。帝国主義者は「エニウェア族」であり、民族主義者は「サムウェア族」である。日本を愛し、かけがえのない祖国であるとするサムウェア族の一人である私からすれば、どこででも生きていけると傲慢にうそぶくエニウェア族には、日本ではないどこかで勝手に生きてくれることを求める。そうして寄生した国では、当然そこに住むサムウェア族が侵入してきたエニウェア族と闘うことになるだろうから、私はそのサムウェア族を絶対的に応援する。世界中をサムウェア族の共存共栄で埋め尽くし、エニウェア族の勢力圏を消滅させよう。置かれた場所で咲くことができない者は、別のどこかで咲くこともできない。日本は私たち日本人が咲き誇る場所である。
私は日本人論、民族主義、愛国心の概念を理論的にまとめて思想体系にしたいという夢があり、私の読書生活の中において、その目標は常に頭の片隅に置かれている。本書はその夢の具体性を高めるためにたいそう役に立った。左翼帝国種を打倒せんとする愛国者、民族主義者にとって必携の書と言えるだろう。
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